照明が飲食店に及ぼす影響
照明は飲食店において大きな影響を与えます。
間違った照明の使い方をすると、落ち着いた雰囲気のバーにしたいと思っていたのになぜか居酒屋のような雰囲気になってしまったり、逆に落ち着くよりも暗い印象を与えてしまったりすることもあります。
また、飲食店においては料理がおいしそうかどうか、最近であれば写真映えするかなども、少なからず照明の影響があります。
まずは照明についての基礎知識から解説していきます。
照明の用語や種類について
照度(単位:ルクス)
照度とは明るさのことで、お店の種類や部屋によってJIS規格などで定められています。
例えば、スーパーなどの陳列部は2,000ルクス、トイレや休憩室は200ルクスとなっています。
細かい作業を行うオフィスは750ルクス、店舗全体は500ルクス、出入り口付近は100ルクスと目的に応じた適切な照度の照明を設置しましょう。
光色(単位:ケルビン)
光色とは、人が感じる色味のことで、「色温度」で表します。
光色次第で料理がおいしそうに見えたり、逆においしくなさそうに見えることもあります。
電球色はオレンジっぽい色で、飲食店やムードを出したい場合に向いています。
昼白色は、明るくクリアな色なので、看板の照明や活気があるようなところに向いています。
色温度の数値は、電球色は低く、昼白色は高くなります。
光源
光の発生源である光源は、照明でいう電球のことです。
電球にもさまざまな種類があり、それぞれに向き不向きがあります。
白熱灯は寿命は短く光色の加減はできないタイプですが、商品を鮮明に照らすことに向いています。
蛍光灯は他の電球に比べて拡散型の光を発するので、物の周りに影ができにくく、白熱灯よりも寿命は長いです。
しかし、発熱しやすく紫外線も発生させるため、長時間使用すると商品などが日焼けして変色してしまうので注意が必要です。
LED電球は、寿命が長く省エネで、紫外線をほとんど発さないため、商品を長い間照らしていても日焼けしないというメリットがあります。
光色も電球色や昼白色が選べるため、使用したい場所に応じて使い分けることができます。
照明の種類
天井に埋め込むタイプの照明器具をダウンライトといいます。
配置に自由が利き目立ちにくいため、メインの照明としても間接照明としても使うことができます。
壁に埋め込むタイプの照明器具はブラケットライトといいます。
小型で、デザイン性に優れているものが多いため、ムードがある空間にしたいときに間接照明として設置するのがおすすめです。
光を一か所に集中して当てるタイプの照明はスポットライトといいます。
ステージや目立たせたい商品のディスプレイなど、強調したいときに向いています。
どんな雰囲気のお店にしたいか、目的や理想の雰囲気に合わせた照明器具や電球を適切に使い分けることが、空間づくりのポイントになってきます。
飲食店の照明におけるライティングテクニックとは
ダイエットには青いお皿で食事をとるといい、なんてウワサを聞いたことはありませんか?
青系の色は食欲を減退させる効果があると言われていることから、そういったダイエット方法があるのです。
逆に、オレンジや赤などの暖色系の色は食欲を増進させるといわれています。
飲食店の照明は色温度の使い分けが重要になってきます。
色温度が高いと料理が青白く見え、色温度が低いと料理がオレンジっぽく見えておいしそうに感じるため、飲食のスペースでは暖色系の照明がおすすめです。
どんなにおいしい料理でも、印象は大切です。
おいしくなさそうだと感じてしまうと、それだけで客足が遠のいてしまうこともあるので、照明1つにも配慮が必要です。
ただし、調理場では手元の明るさや集中力が求められるため、色温度が低いオレンジ系の照明は向いていません。
作業を行うスペースには色温度の高い青白い照明を選ぶようにしましょう。
照明の色以外にも、壁や床の内装材の素材によって光の反射具合が異なるため、雰囲気が変わります。
白系の大理石やガラスなどは光を多く反射するためモダンな雰囲気になり、大きな窓がついていて太陽光が差し込みやすいお店に白い床材や壁材を使用すると開放的な印象になります。
反対に、木目調や土壁など自然な素材の内装材を使用すると、光が反射しづらく落ち着いた雰囲気になるので、リラックスできる空間を作りたい場合にお勧めです。
また、空間を演出するためには間接照明は欠かせません。
間接照明とは光を直接当てるのではなく、あえて天井や壁などに反射させて空間を照らすことです。
直接光を当てるよりも柔らかな光を感じられるため、落ち着いたリラックスする雰囲気にしたい場合に効果的です。
間接照明のみでは暗い印象になってしまうため、メインの照明や窓からの光などのバランスを考えて設置することが重要になります。
風俗営業法に注意しましょう
照明の話にいきなり風俗営業法という言葉が出てきて驚かれた方もいるかもしれません。
もしくはうちの店は関係ないと思っている方も、ちょっと待ってください。
実は、客席の明るさが基準を下回ると「風俗営業店」となってしまうのです。
その基準の明るさというのが10ルクスで、映画館の上映前後の明るさくらいです。
客席の照度が10ルクスを下回り、午前0時~午前6時の間にお酒を提供するお店は、新しく設立するときに許可申請が必要だったり、営業時間や地域に制限がかかったりするため注意が必要です。
他にも、明るさに関する決まりがあり、飲食店以外に商業施設などにも日本工業規格(JIS)で基準があります。
飲食店を例に挙げると、廊下や階段は200ルクス以下、客席などは300~700ルクスが基準となっています。
まとめ
照明は飲食店の雰囲気づくりに大きな影響を与えます。
光の色によっておいしそうにもまずそうにも見えることもあります。
お店の明るさはJIS規格で基準があり、客席の照度が10ルクス以下の場合風俗営業法にかかわることもあるので注意が必要です。
以上が、飲食店と照明についてでした。
コラムを読んでいただいた上で、照明の設置位置などをもっとプロに相談したい、照明の設置工事もお願いしたいという方は、未来電機までお問い合わせください。